マルタ島の海岸は岩場が多く、砂浜はあまり多くはありません。それでも砂浜の海岸がないわけでもないようです。ジュンコは「メリハにマルタ島最大の海水浴場がある」と言います。「アデイーラ湾のメリハビーチ」だとか。
モモからもらった地図で確認してみましょう。まず「メリハ」ですが、確かにマルタの北東端に「MELLIEHA」と記載があります。ちょうどマルタ島の尻尾の付け根辺りです。ただ、「アデイーラ湾」の記載はありません。「MELLIEHA BAY」とあります。僕の聞き間違いでしょうか。
ちなみに地図には見張塔の印が島の海岸線を隈なく埋めています。中世においてはアラブの海賊や後にはオルマントルコの海軍ともなった荒くれから騎士団等が島を防衛するために数多構築したのでしょうか。
また、島の沿岸は多くのダイビングスポットがあるようです。僕達が定宿としたウェステインドラゴナーラの前の海も人気のダイビングポイントだと云います。この海底には地中海特有の海藻ポセドニアが海底一面を覆う「草原」が広がっているとか。
ポセドニアは地中海の海中、約 3,200 kmに渡り 40 以上の「海中草原」を作り上げていると云います。最近の研究では、この海草がおよそ 1 万 2 千~ 20 万年生き続けてきたことが明らかになったそうです。最も多いのは 10 万年程度の株だそうですが、それでもこれまで最高齢とされたタスマニアの植物の 4 万 3 千年を凌ぐ歴史を蓄積しています。
8:35、港到着です。ゴゾへの船はカーフェリーなので車と同じ階からの乗船です。バスを降りてジュンコの案内で待合室に進みます。フェリーは9時出航予定です。待合室までの途次、強風で帽子を飛ばされる向きもありました。船が揺れないか聊か心配ではあります。
ゴゾとマルタは僅か6kmだと云います。間にコミノ島があります。面積3.5平方キロメートルの小さな島です。島の名前はかつて島に自生していたクミンにちなんで名付けられたとか。定住人口はわずか3人だとジュンコは言います。「老婆が3人」で、「生まれた場所を出たくないと」語っているそうです。夏期になれば、観光客と観光業に従事する人の人口が増えるので公共サービスに従事するためゴゾ島から司祭1人と警察官1人が代用員としてやってくるのだとか。現在、コミノは野鳥と自然の保護区となっています。
クミンというのは、エジプト等を原産とするセリ科の一年草です。ジュンコは「ハーブの一種」と説明していました。カレー粉に配合されるため、カレー特有の香りとわずかな辛味をもっていると云います。
このフェリーは特に乗船券は不要だと云います。出航時刻まで適当にロビーで時間を潰します。ジュンコの言っていた通り、時間が経つにつれ乗船客が待合室を埋めてきました。大勢の外国人シニア団体客も目につきます。
定刻になり、団体の流れにのってフェリーに乗船します。お好みで2階や3階の船室に入ります。モモは「フェリーでは船室の右側が良い景色」だと言います。僕は2階船室の右側テーブル席が空いていたので、そこに腰を下ろしました。