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Channel: 私の高橋真梨子論
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■マヌエル劇場

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 ちなみに敬礼の起源は中世の騎士に遡ると云われます。兜の面ほうを片手で上げる仕草が敬礼になったとか。
 聖ヨハネ大聖堂は後回しにして、ジュンコが「劇場行きましょう」と僕達を「マヌエル劇場」に案内します。予定になかったサプライズです。「ここかな」といった感じでジュンコに付いて行くと、デパートのパーラーみたいなカフェに出ました。そこを通りぬけて、再た通りに出ました。ジュンコは「確かここだった・・・」と思ったようですが、デパート?の女性スタッフに劇場を確認していました。
 「こっちです」。ジュンコに案内されたのは小さな博物館でした。中世の騎士や貴族の女性が纏ったと思しき衣装が飾られています。騎士団長たちの額も掲げてあるようです。かつての演目を描いた絵も展示されている感じです。
 この陳列廊下?を抜けると劇場です。劇場内には先客がいるようなので、彼らが済んだら入場とジュンコは僕達を制しました。しかし、先客が長そうなのでジュンコが「良いですか?」といった感じで入場許可を求めて劇場に入りました。
 客性は660席くらいだそうです。舞台正面のバルコニーには大統領、首相、文化相の席があるとか。この劇場は騎士団が造ったものだと云います。騎士団はマルタに来てからは、あまり戦いをせずに劇場造ったりしていたようです。恐らく対オスマンの大包囲戦に勝利してからは莫大な寄付を集めたと云われますから、その財を充てたのかも知れません。この劇場と騎士団長の宮殿は地下通路で繋がっているそうです。
 マルタ出身の人気オペラ歌手がいるそうです。彼はマルタ人の誇りだと云います。彼は、時折、このマヌエル劇場で凱旋公演を行うのだとか。劇場は、1731年に創建されヨーロッパで3番目に歴史があるそうです。
 昼食前に、いよいよ聖ヨハネ大聖堂の見学です。外観は、マルタ石の名で知られるマルタ島産の石灰岩を使用しています。ジュンコ曰く「外観は質素」です。バロック様式の内装は、カラブリア出身のマルタ騎士団員で画家のマッティア・プレッティの手によるものが大部分を占めています。プレッティは精巧に刻まれた石の壁を設計し、ヴォールト天井と祭壇の両側を聖ヨハネの生涯を描いた絵画で埋めつくしました。ジュンコは「内部は豪華」だと言います。
 教会の本堂には、騎士団長たちが眠る、大理石でできた墓石が並んでいます。墓石は豊かな装飾がなされ、石の下に埋葬されている騎士の似姿と同様にその紋章が彫られ、時には戦勝の物語を記しています。
 聖堂内の礼拝堂は、騎士団を構成した騎士が8言語ごとの騎士館に分けられていたのにならい8つあります。小礼拝堂に展示されている絵画、カラヴァッチョの「洗礼者ヨハネの斬首」は、この聖堂の宝でしょう。
 カラヴァッチョは「人を殺して騎士団に匿われた」とか。彼は、「聖ヨハネの斬首」のカンバスに血の延長線に署名を遺しています。

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